人文蝉

  大人のためのアニメ・人文学サークル (社会人・院生からのオトナ部活)

第七回の報告

知のたのしみ 学のよろこび

知のたのしみ 学のよろこび

 

 「世界の建設と破壊は、元来、宗教の問題であった……ある年代以上の人たち、特に宗教関係者には理解しがたいのではないかと思われるが、いまの多くの若者にとって宗教はほとんどサブカルチャーなのである。『エヴァ』にも使徒、アダム、リリス死海文書など、……神話や聖典の言葉が用いられている。それらの使い方はまったく思いつきであり、背後に作者の思想的な意図があるわけはなく、意味ありげな雰囲気作りに利用されているに過ぎない。…宗教に権威がないというよりも、生きること死ぬことに威厳がないのだろう。

 …ことばはコミュニケーションの道具であるというよりも、信号や暗示であったり攻撃や防御の手段であったりする。……成長物語でありながら、そこに描かれた世界は社会性を原理とするものにはなりきれない。『エヴァ』の子どもたちは、大人になりきれない、しかも子どもであり続けることもできない痛々しい子どもたちのように見えてならない」

(氣多雅子「エヴァンゲリオンのこどもたち」『知の楽しみ、学のよろこび』京都大学文学部編、岩波書店、2003年)

 本日は飛び入り参加、新しく来てくださった方を含む過去最大の8名参加となり盛況でした。15分トーク「サブカルと宗教」では、1.宗教とサブカルの類似、2.サブカルの定義、3.宗教とは何か 4.宗教哲学者によるエヴァ評、5.日本での現状を、ざっと話しました。季節ものとしては米国大統領選挙、また読唇術解読技術の話など、今日も多岐にわたって雑談しました。次回も皆さんのお越しをお待ちしております。

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